東京工業大学 環境・社会理工学院 融合理工学系 分山研究室
分山研究室
Wakeyama laboratory
自然エネルギー100%の電力システムへの道筋を描く
研究室紹介
本研究室は2022年4月にスタートしました。自然エネルギー100%の電力システムの実現へ向けて、学生の皆さんの問題認識や関心をもとに、線形計画法や地理情報システム(GIS)によるモデル分析、政策研究、再生可能エネルギー事業の事例調査に取り組んでいます。学生の皆さんが対象分野の学問的理解と研究手法を身につけるとともに、脱炭素社会の構築へ向けた課題について理解を深めることを目標としています。
研究分野
新エネルギー技術の政策調和
脱炭素社会の構築へ向けて必要となる再生可能エネルギーや蓄電池、水素燃料技術などは、普及拡大が進みにくいことがあります。しかし、このような新技術の社会実装では、従来型の技術を前提とした政策が障壁の一つになっていることもあります。本研究室ではモデル分析や政策研究によって新技術の社会実装を促進するためカギとなる政策を明らかにします。
電力システムのモデル分析
将来の100%再生可能エネルギー電力システムの全体像を描くために、線形計画法による経済負荷配分モデル、ユニットコミットメントモデル、市場モデルと系統モデル、GIS・地球統計学などを使用して、2030年から2050年までの再生可能エネルギーの導入拡大シナリオを分析します。電力需給や地理情報など各種データを活用して、分析対象にあわせたモデルを構築することで、将来の電力システムのコスト、再エネ比率と出力制御量、電力市場や電力系統、土地利用への影響を分析することができます。
再生可能エネルギーの
地域合意形成
自然資源は人類や社会が共有する有限の資源であり、個人の配慮のない行動によって資源が損なわれる危険性にさらされています。E・オストロムは、資源枯渇の悲劇を招かないカギが地域による自治管理にあることを示しました。オストロムは一方で、規制による資源保護には限界があることに言及しています。本研究室では、日本やケニアの地熱発電所をフィールドとして、新規技術の活用と数理社会学的な制度設計による、持続可能な資源管理と将来の地域合意形成の在り方を研究しています。
メンバー
これまで研究者として国の政策を研究したり、コンサルタントとして自治体や事業者の取り組みをサポートしたり、様々な面から再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んできました。脱炭素社会の構築へ向けてはまだ課題が山積みです。しかしモデル分析や政策研究によって、意外なところに問題解決のきっかけが見つかることがあります。「自然エネルギー100%の電力システムへの道筋を描く」という大きな目標のもとで、一緒に問題解決に取り組んでみませんか。
分山 達也, 准教授
所属学生
Rui Zhang, 博士後期課程 1年